
ストレッチの前にはウォーミングアップは必要か?ということについてストレッチ論からと、ストレッチ初心者の人の立場からという2つの視点で解説します。
ストレッチの原典であるボブ アンダーソン(Bob A. Anderson)の『ストレッチング(Stretching 20thAnniversary)(NAP 2002年9月)』では、
ストレッチを行う場合、特別なウォーミングアップなしでおこなうとけがをするのだろうか?
否、ストレッチが心地よいものであり、無理に行わなければけがをすることはない。ストレッチング 8ページより
つまり、「本来の正しいストレッチでは、その前のウォーミングアップの必要性はない」という考え方がうかがえます。
しかし、実践者、個々人のストレッチ(技術)のレベル(習熟度)を配慮すると、正しいストレッチを体得できてないレベルでは、事前に体を温めておく…「ウォーミングアップをした方がいい」とすすめているようです。
私はストレッチを始める前に数分間一般的な動きを行うこと(歩くことや腕を振ることなど)で、筋や関連する軟部組織を温めることをすすめている。これによって血液循環が促進する。
ウォーミングアップをするしないにかかわらず、ストレッチは適切に行わなければならない。
同上8ページより
ウォーミングアップを行わないと「ケガをしやすい」という人はどんなストレッチをしているのか?
ランナーのなかには、ストレッチの前にウォーミングアップを行わないとけがをしやすいという者がいる。
ウォーミングアップをせずにけがをした場合、以下のことが考えられる。・急いでストレッチを行った場合(リラックスしていない)。
・急激に、過度にストレッチを行った場合(温まってない筋をオーバーストレッチさせる)。
・ストレッチ感を配慮せずに行った場合同上8ページより
精神状態(この場合リラックス)を含め、技術的に問題があるストレッチ、間違ったストレッチでは、ケガをしやすくなることも予想でるため、ウォーミングアップを行った方が良いといえます。
(ストレッチは)体が温まったときに行う
正しいストレッチ「論」という意味では、「適切にストレッチを行えば、ストレッチをしたことで、けがをすることはないはず」ということになります。
でも、健康のためにストレッチを生活に取り入れ始めた人、ストレッチ初心者の人には、間違ったストレッチをして逆に体を痛めてしまった…ということは避けたいものです。
秀逸のストレッチDVDとして前回ご紹介しました、坂詰真二氏が監修した『DVD 毎日続けられる やさしいストレッチ』(株式会社 西東社 2014年12月10日)。
このDVDの付属テキスト20ページから始まる「気持ちよ~く伸びるストレッチのコツ」として7つのコツがあげられています。
その7つのコツの中の一つに「(ストレッチは)体が温まったときに行う」として以下のようなアドバイスがありました。
(ストレッチは)体が温まったときに行う
ストレッチはお風呂上り、有酸素運動やスポーツをした後など、体が温かいときに行うのが効果的。体が温まると筋肉の筋繊維の間のコラーゲンが柔らかくなり、筋肉が伸びやすくなるからです。
なお、起床後すぐは最も体温が低いので、なるべく避けたほうがいいでしょう。
『DVD 毎日続けられる やさしいストレッチ』付属テキスト22ページより
なお、『DVD 毎日続けられる やさしいストレッチ』
このDVDに感じた実践重視の秀逸さについては、こちらのページで紹介しています。