
朝(午前)と夕方(午後)ではどちらの時間帯に(運動)すべきか?
朝日を浴びながら、新鮮な空気の中で…と「運動するなら朝がいい」という人が多いようです。しかし、(特に中高年にとって)朝の運動の質が、激しい(苦痛を感じる)ものであったなら、そこには大きなリスクがあることもわかっています。
運動するのに好ましい時間帯は、朝?夕方?
運動をするのに好ましい時間帯は朝(午前)と夕方(午後)のどちらがいいか?…
この疑問のヒントになる内容が、
「高齢者の運動ハンドブック」にて
「1日のうちでいつ運動するのが安全かつ効果的でしょうか」というコラムの中で解説されていました。
著者:米国国立老化研究所、東京都老人総合研究所運動機能部門
監修:青栁幸利
発行:株式会社 大修館書店 発行日:2001年6月1日
※1日のうちでいつ運動するのが安全かつ効果的でしょうか
建前としては、運動するのは朝(午前)よりも夕方(午後)のほうがよいということになります。ヒトの死亡時刻や心血管系の異常(心筋梗塞、脳梗塞、狭心症など)の発生時刻には、明瞭なピークが認められます。最も大きなピークは、明け方から正午にかけて現れます。
このような現象の背景には、睡眠・覚醒にともなう自律神経機能の変化が深く関与しているものと考えられています。これによって、目覚めるときに、血圧や心拍数の急激な変化が起こります。
そして、姿勢や活動の影響がこれに加われば、心血管系に大きな負担となります。一方、午前中よりも午後、特に夕方に運動すると、お風呂に入った場合と同様、よく眠れる(寝つきがよい、眠りが深い)可能性があります。これは、ひとつには、どちらの場合も体温が一過性に上昇することと関係あります。(102ページ)
一日の中で、適正な「運動タイム」は?
もし、一日の中で、「運動タイム」をもうけるとしたら、(1日の生活の時間の使い方に、自由度が高い人、または、高齢者の方では)
「(朝(午前中)より)、夕方(午後)が良い。」といえます。
でも、会社勤めのをしている人には、夕方(午後)に「運動タイム」をもうけることは、現実面ではかなり困難なことですよネ!?
そのことも踏まえ、本書(高齢者の運動ハンドブック)では、
もっとも、午前中は絶対に運動しないほうがよいということではありません。仕事の都合で朝しか時間が取れないという方もいるでしょう。無理のない程度の運動であれば、基本的にはいつおこなってもよいと思います。(102ページより)
という見解を示し、結論としています。
上記の内容を言い換えるなら、
・ただし、朝(午前中)の運動は、体に大きな負荷を感じる運動は避けるべき。
ということになります。
目覚めるときに、血圧や心拍数の急激な変化が起こる。さらに姿勢や活動の影響がこれに加われば、心血管系に大きな負担となる。…つまり、人(ヒト)の体は、急激な負荷により、心血管系に大きな負担、悪影響をおよぼすといえます。それがおこりやすいのが、朝(午前中)の時間帯であるというわけです。
あわせていえば、どんな時間帯でも「運動(トレーニング)」前には、「ウォーミングアップ」のためのメニューは必ず取り入れるべきですね。
<書籍紹介>
書名:高齢者の運動ハンドブック
著者:米国国立老化研究所、東京都老人総合研究所運動機能部門
監修:青栁幸利
発行:株式会社 大修館書店
発行日:2001年6月1日
本書は書名の通り、「高齢者向け」の内容となりますが、私のように中年でも極度の運動不足の人にも役立つ内容となっています。
特に、第4章 自宅でできる運動の例では、室内でできる簡単で持久力、筋力、バランス能力、柔軟性、向上に向けた効果的な運動法について解説されています。
<目次>
第1章 運動をするとどんな効果があるのでしょうか
第2章 運動をしても大丈夫でしょうか
第3章 運動をしつづけるには
第4章 自宅でできる運動の例
・持久力を高める方法
・筋力を高める方法
・バランス能力を高める方法
・柔軟性を高める方法
第5章 運動の効果をチェックする
第6章 歩く速さで体力水準や健康状態がわかる
第7章 漫然たる散歩やウォーキングだけでは老化は防げない
付録A:目標心拍数
付録B:運動実践の記録
監修者 青栁幸利氏について。
本書(高齢者の運動ハンドブック)は、青栁幸利 氏が監修しておられます。
青栁幸利 氏といえば、現在、私がロコモ対策として、日々の運動量の指標にしている「メッツ健康法」を提唱している方です。
「メッツ健康法」は、私の挫折に満ちた、運動歴、トレーニング歴の中で、はじめて納得できる、「日々の運動の質と量の指標」をあたえてくれました。
※参照(過去記事)⇒「メッツ健康法」の基本と私が継続できている理由(本と実践レビュー)